「壊す」のではなく「切り離す」。ワイヤーソー工事が選ばれる本当の理由
コンクリート構造物を撤去する方法は一つではありません。
ブレーカーによる斫り作業。
重機による解体作業。
ウォールソーによる切断。
そして、その中でも特殊な工法の一つがワイヤーソー工事です。
「大きな構造物を切る工事」
というイメージを持たれることが多いですが、実際の現場でワイヤーソー工法が選ばれる理由はそこではありません。
本当に重要なのは、
『壊せるかどうか』ではなく、『どこまで影響を抑えられるか』
なのです。
■ 昔は「壊す」が当たり前だった
現在のようにワイヤーソー工法が普及する以前、多くの現場ではブレーカーによる斫り作業が主流でした。
もちろん今でも必要な工法です。
しかし、
・振動
・騒音
・粉じん
・周辺構造物への影響
といった問題が避けられません。
特に近年は、
住宅密集地
稼働中の工場
病院
公共施設
など、
「工事はするが周囲への影響は最小限にしたい」
という現場が増えています。
そこで求められるのが「切断」という考え方です。
■ ワイヤーソー工事は構造物を壊さない
ブレーカーは衝撃を与えてコンクリートを破砕します。
一方、ワイヤーソーはダイヤモンドビーズを装着したワイヤーでコンクリートを削りながら切断します。
つまり、
衝撃を与えて壊すのではなく、
構造物を切り離していく工法
なのです。
だからこそ、
・不要なひび割れ
・周辺部への振動伝達
・二次損傷
を抑えることができます。
■ 実は「切る前」が勝負
ワイヤーソー工事で重要なのは切断作業そのものではありません。
本当に重要なのは施工計画です。
例えば、
厚さ1mのコンクリート壁を切る場合。
切ること自体は可能です。
しかし問題はその後です。
切断したブロックが5トンだったらどうでしょう。
10トンだったらどうでしょう。
切った瞬間から、
それは構造物ではなく重量物になります。
そのため施工前には、
・切断サイズ
・重量計算
・搬出経路
・クレーン能力
・玉掛け方法
まで検討する必要があります。
実際には、
「切断計画」
というより、
「撤去計画」
に近い考え方になります。
■ ワイヤーソー工事は他工法との連携で成り立つ
ワイヤーソーだけで施工が完結することは多くありません。
現場では、
まずコアドリルでワイヤーを通すための孔を開ける。
次にウォールソーで部分切断する。
その後ワイヤーソーで本切断する。
最後にクレーンで搬出する。
という流れになることもあります。
つまり、
ワイヤーソー工事は単独の技術ではなく、
現場全体を考える総合的な施工技術でもあります。
■ 「切れるか」ではなく「安全に撤去できるか」
お問い合わせの中でも、
「この厚みは切れますか?」
というご相談をいただくことがあります。
もちろん厚みは重要です。
しかし現場では、
切れるかどうかよりも、
安全に切断・撤去できるか
の方が重要になります。
特に大型構造物では、
施工計画の良し悪しが安全性や工期に大きく影響します。
■ ワイヤーソー工事は“目立たない技術”かもしれません
完成後に残るわけでもなく、
一般の方が目にする機会も多くありません。
しかし、
橋梁の改修、
工場設備の更新、
建築物の大規模改修など、
社会インフラを支える現場では欠かせない工法です。
「どうやって撤去するのか」
その答えの一つがワイヤーソー工事です。
当社では、現場条件や構造物の状況に応じて最適な施工方法をご提案しています。
大型構造物や特殊条件の現場についても、お気軽にご相談ください。





