佐賀県初。「汚泥をその場で“資源”に変える会社」
―― サガ・コア&カッター工業(株)の革新力に迫る
「汚泥をその場で処理・資源化する」環境対応型の建設手法が注目を集めています。この記事では、佐賀県白石町のサガ・コア&カッター工業(株)が導入した『移動式中間処理施設』の実態に迫り、建設現場での汚泥処理や再資源化の新しい形をご紹介します。

取材・文:haru
現場で汚泥が“資源”に変わる瞬間
佐賀県神埼町のある工事現場で、私は静かな革新を目撃した。
重機の音が響くなか、切断されたアスファルトのそばで稼働するタンクと装置。そこから排出された汚泥――冷却水と削りカスが混ざったその廃棄物が、目の前で処理水と処理土に変わっていく。
それは単なる処理ではない。”再資源化”という、建設業の未来を感じさせる光景だった。

汚泥=廃棄物ではない。発想の転換から生まれた工法
「現場で出たものを、現場で処理する。それが環境にも現場にもやさしい方法です」
そう語るのは、サガ・コア&カッター工業株式会社の重松恵美氏。
サガコアは2019年、佐賀県内で初めてウォーターリサイクル工法を導入。さらに2023年には中間処理施設を稼働させ、汚泥を処理水と処理土に分離・再利用する“一元化処理”体制を確立した。
「切断→処理→再資源化→証明発行」までをすべて自社で完結できる点は、業界内でも画期的だ。

4つの視点で見る“その場で資源化”の意義
従来のように、産業廃棄物として運び出すのではなく、現場で完結させるこの技術。その背景には、社会的・環境的な複数のメリットがある。
- 水資源の再利用(冷却水の循環使用)
- 処理土の再活用による産廃量の抑制
- 現場工程のスリム化による業務効率化
- 排出量と処理状況の”見える化”
「私たちは、廃棄を減らすだけでなく、“信頼される処理”を目指しています」
技術と地域性が生む「持続可能な現場」
この技術革新は、地域社会にも広がりを見せている。中間処理施設には行政関係者や同業他社が見学に訪れ、環境対策や持続可能な現場づくりに関心を寄せている。
「私たちは単なる工事業者ではなく、地域インフラの未来を支える技術者集団です」
と語る重松氏の言葉は、これからの建設業に求められる責任と可能性を象徴している。

編集後記(by haru)
“汚泥をその場で資源に変える”というこの挑戦は、まさに建設業の常識を覆すものだ。
廃棄から資源へ。点から線へ。現場から未来へ。
その第一歩を踏み出したサガ・コア&カッター工業の姿に、持続可能な社会へのヒントが詰まっていると感じた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ※掲載内容は取材時点の情報です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
